恋心とは何か

私には、今、私を愛おしく思い、大切してくれようとしてくださる方がいる。

私もその方が大好きだ。ずっと話していたいたいし、一緒にいろんなことを感じたい。

彼が何をしているか気になるし、何を考えているかも気になる。彼は私の心にいつも寄り添い、笑わせて、私の心をいつも楽しくしてくれる。彼との毎日のやり取りをするようになって私は日常が本当に楽しい。

 

それなのに、私は、遠くにいってしまった友人を時々思い出す。彼は最後の日に私にそれまでしなかったような個人的な話をして、去っていった。彼は私が好きだと言ったけど、私は、彼に友人として必要な時には私がいるから、としか言えなかった。

 

私が彼に淡い恋心を抱いていたことを彼はきっと知っている。

彼は遠方に行ってからの方がマメに私に連絡するようになった。何気ないことをメールしてきたり、私の様子を尋ねたり・・・。

そして、酔っ払って私に何度も電話してきた。

 

私の方が何かをしていて彼からの着信に気づかなかったり、寝ていたりしてるときは、自分からかけなおすことはしないけど、ちょうど気づいてしまった時は、どうしても電話に出ないという決断ができない。

 

電話の内容は、さまざまだけど、酔っ払っているときの彼は私にかなり甘えている気がする。

 

 

話すだけで自分の心を軽くしてくれる人は私しかいないとか、

私の存在があるから、新天地でも頑張れているとか、

自分が意気地なしでもっと早く私に告白していたら何か変わっていたの・・・?とか

 

私は返答に困る。そう思ってくれて嬉しいとか、何かが変わっていたかどうかはわからない、などと曖昧な言葉しか彼に言ってあげられない。

 

そして彼は、言う

「やっぱり好きなんだよ・・・とても・・・。毎日君の声を聞いて、君の顔を見たいって思ってしまう・・・」

 

私は沈黙になるのが、嫌で、無理にでも明るい笑い声を立てる。

アハハ、何言ってるの、酔っ払ってそんなこというなんてホントに軽いなぁ、もう明日も仕事なんだから早く寝なよ!

 

そうして、彼をなだめて電話を切る。

 

電話を切ったあとのこの胸の苦しさは何なのか、毎日、彼からのメールが来ると少しだけ心が躍るのはなぜなのか、彼はずるい。彼に対する恋心を消そうとしている私にこのやり方はずるい。

 

彼なんてわがままで、自分勝手で、甘ったれで、思慮深くないし、本気なんだかウソなんだかわからないことを言うし、嫌いだ。

 

恋心なんて、意味が分からない。

私は科学者だけど、全然わからない。

 

いつかこんなずるい彼に負けて、「私も好きだよ」といってしまいそうな自分が怖い。

彼に会いたいと言われると「私だって会いたい」と言ってしまいそうな自分が嫌い。

未来なんてどう考えてもないのに、彼に何もかも奪われたいと思ってしまう自分が恐ろしい。

 

これはきっと恋心のなせるワザだ。

 

私の、神様、私の脳細胞、脳内物質、誰でもいいので、この恋心を忘れさせてください。