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人類の利益のために行われる許された殺戮

早朝の電話で目が覚める。普段は寝るときは消音にしているが、前日に容体が悪いサルがいるときには、いつ呼び出されてもいいように、着信に気づくようにしている。 やはり、という気持ちでラボに向かう。 世界最高レベルのバイオセーフティレベルが認められ…

不屈の忍耐力の代償

久しぶりに会うあなたは小さな男の子のような屈託ない満面の笑顔で私に笑いかけるけど、その顔には、疲労が色濃く影を落としていることに私は気づいてしまう。 私よりも年若いあなたの短く整えられたその髪の毛の中に何本もの白い髪の毛が見える。 「白髪増…

第7回

祐太郎と二人になった浴室には祐太郎の嗚咽に近い咳だけがこだまして響いている。 その小さな肩は依然として震えており、私は祐太郎が2歳ころから大好きだったアニメの主題歌を何事もなかったかのように、その小さな耳元に口を寄せてささやくように歌い始め…

第6回

「アリー、一緒にお風呂あいろー(入ろう)」 と一階から祐太郎が私を呼ぶ声がする。階段を降りていくと、祐太郎はもう全身の服を脱いでおり、待ちきれないとばかりにその場で足踏みをしながら私を階下から見つめている。 「はやく、はやく」 と促されて、手…

第5回

祈りの終わった母は、すでに夕食を食べ始めている私たちを無視するかのように、 「さあ、いただきます」 と、はっきりとした声で誰に向かって言うのでもなく宙を見つめて言った。 祐太郎は、夢中で夕食を食べ続けている。この子はまだ弱冠の4歳であるにも関…

無知がもたらす奔放さに対する狭量

私はこの時代の価値観からすると「奔放な人」に分類されるかもしれない。 私はこれまで、付き合っている人がいても、結婚をしていても、なんら悪びれることもなく自由に恋をしてきた。しかも、恋をしていることを相手に悟られても平気だったし、むしろ自分か…

みんなのためのあなた

家に帰れなくなって一週間 あなたは、それ以来、1日2時間も眠っていない。 その短い仮眠を取るのは、設置された指揮所の机の上。 そろそろ睡眠不足と疲労からくる幻覚を見るころよ。 お願いだから休んでよと言いたいのを私は我慢する、それが不可能なこと…

結核ワクチン、ヒューマントライアルの失敗

Fletcher et al., (2016) T-cell activation is an immune correlate of risk in BCG vaccinated infants. Nature communications 11290. 今月、科学雑誌の超有名所Nature系からpublishされたばかりの論文。今回は私の発表。 南アフリカでおこなわれたMVA85A…

高校の友達とランチ

私の大好きな女友達と御徒町の「Brasserie La Pleiade」でランチ。 私は二日酔いだったけど、二人に会ったら頭痛もふっとんだよ。 高校のときからすると、2人とも本当に20年もたつのに、ますます綺麗になってる気がした。あなたたちは結婚しても子供がい…

恋の苦しみ

1600年代に活躍したモラリスト文学者であるラ・ロシュフーコーの言葉は言い得て妙だ。 「恋は火と同じように絶えず揺れ動いてこそ保たれる。期待したり、恐れなくなったりしたら、もうおしまいだ(François VI, duc de La Rochefoucauld)」 恋をしている最…

第4回

その日、学会参加者たちの帰宅ラッシュを避けようと、私たち二人は、まだ肌寒い3月末の京都で2時間ほど散歩をした。京都の石畳はハイヒールには決して優しくない。時々、石畳の隙間にヒールが挟まってつまずき、私は恥ずかしくて下を向いて歩いていた。私…

第3回

痛むこめかみを軽く押さえながら、病院で処方されている片頭痛の薬を口に入れ、先ほどの新幹線で買ったペットボトルのミネラルウォーターで喉に流し込む。この片頭痛の薬は保険が効いても一粒1000円前後の高い薬だ。しかし、私の頭痛を緩和する効果があるの…

私の中の別の私

私はこれまで経験したことがない形で好意を抱かれていることを感じている。 その好意は、私の精神の深淵までを覗いてそれを愛でようとする。 そもそも、私の心や精神を知りたいと思ってくれた人がこれまでどのくらいいたのだろう。 私の物体としての肉体や、…

第2回

掃除の行き届いた玄関には母の育てた花が生けられている。淡いピンクのチューリップと、白い星型をした可憐な花を組み合わせている。母は、華美な花を咲かせるバラや、鮮やかな原色や深紅の花を好まず、淡い色の可憐な印象の花を好む。この生け花もそうだ。 …

第1回

1 実家へ帰る新幹線の窓から見える景色はいつも同じで、田園風景ばかりが続き、トンネルが多い。窓から外の景色を眺めていると、ふいにトンネルに差し掛かり、視界が暗闇で遮断され、のどかな田園を映し出していた窓には、車内の蛍光灯に照らされた私の顔が…

共同研究への期待

今日、知り合いの研究者から研究についての相談を受けた。この先、共同研究になりそうかもしれなくて、ワクワク ドキドキ。 彼のおこなっている研究は吸血バエであるツェツェバエの研究。このハエの体内にはトリパノソーマ原虫がおり、ハエに吸血された人は…

私の恋、そして私の愛

私が恋する彼のどこが好きってその屈託ない笑顔と純粋さ、その透明で力強い声、その背中、大きな手、そして一般人である私に自分の考えを伝えるときでも専門用語が躍ってしまうメール。 「現認教養を受けた者は後顧の憂いなく任務につけるよう準備し・・・」…

正室をもつあなた

彼は、最近、よく私にこう言う。 「ねぇ、好きだよ」 私は、 「そう、ありがとう」 と言う。彼は、 「そんだけ!?」 っていうけど、そんだけだよ。 あなたは甘えん坊な暴君ね。 自分でも自覚してるじゃない。私に対して我儘にならないように私のことを下の…

IL-21がエイズウィルスを抑制

Adoro S. et al., (2015) IL-21 induces antiviral microRNA-29 in CD4 T cells to limit HIV-1 infection. Nature communication 6: 7562. 今回の論文は、エイズウィルスを抑制する効果がある因子としてIL-21がどうやら怪しいという論文。 IL-21(インター…

恋心とは何か

私には、今、私を愛おしく思い、大切してくれようとしてくださる方がいる。 私もその方が大好きだ。ずっと話していたいたいし、一緒にいろんなことを感じたい。 彼が何をしているか気になるし、何を考えているかも気になる。彼は私の心にいつも寄り添い、笑…

成長する娘

私は中3になる娘と毎日のようにラインや電話で話している。 今日の昼休みも娘からラインが来た。 今日は春休みだけれども、とても忙しいとのこと。 午後から、皮膚科(水いぼ)→眼科(メガネの調整)→ピアノのレッスン→塾(夜22時まで) ちなみに彼女は病院…

相談にのってて思うこと(1)

私の大学院の時の同級生K君は先週から毎日のように私にラインをしたり電話をしてきたりする。 その以前からK君とは研究の話や、厳しい博士就職の話などで話し込む仲だ。しかし、その頻度は月に何回、あるいは何カ月も連絡をとらないこともある。だから、こ…

RSウィルス劇症化のメカニズムについて。

今日はゼミだったので、ちょっとメモ。 Jozwik A et al., (2015) RSV-specific airway resident memory CD8+ T cells and differential disease severity after experimental human infection.Nature Communications 6:10224. RSV(英: respiratory syncytia…

最後の日のこと

彼とのことが少し落ち着いた気がするので書いておこうと思う。その日は彼が転勤前に最後にあえる日だった。片付けが終わって、一息ついた時、 彼は私の隣に座って、いつになく真面目に今まで聞いたことのない個人的な話を私にしてくれた。過去に辛い結婚生活…

私に恋する気持ち

昨日、私が他の人に恋心を抱いているという記事を読んでくれた人に、突然、「僕と結婚してくれませんか?」と言われた。 まさに豆鉄砲を食らったハトのごとく私はポカーンとしてしまった。 理由を尋ねると、彼は丁寧に文章で説明してくれた。 それはとても誠…

喉が痛くて

昨日からちょっと喉が痛い。風邪かな。私が泣いたり、苦しそうにしているといつも側で私に優しくて触れてくれるうちの猫。今夜は体調が良くないから早めにベッドに入ったら、すぐに猫が添い寝をしてきて、私の髪の毛やら肩やら胸やらを優しく触ってくれる。…

恋する気持ちの不思議

私はたぶん、彼に恋心を抱いている。 だって、彼を見ると胸がどきどきするから。 話しかけられると声が上ずってしまうから。 彼が私のそばにくると緊張して手が冷たくなってしまうから。 彼のこと、ほとんど何も知らないくせに彼のことが好きだと思う気持ち…

今日からブログ

毎日思ったことを少しずつ書いていけたらいいな。